『サハリン残留日本人と戦後日本』書評が『移民研究年報』に

外村大先生が拙著『サハリン残留日本人と戦後日本』の書評を書いてくださいました。

読みづらい拙著をしっかりとお読みいただいた上でのご評価をたいへんありがたく受け止めました。
書題後半の「戦後日本」について拙著では充分に論じ切れていないのではないかというご指摘は、今後の研究の重要な課題としていきたいと思います。

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外村大「書評 中山大将著『サハリン残留日本人と戦後日本:樺太住民の境界地域史』」
『移民研究年報』第26号、2020年6月、108-109頁。
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拙著インタビュー音声配信開始。

ブック・ラウンジ・アカデミア(BLA)という人文社会科学の研究書の魅力を著者インタビューを通じて伝えようという試みに私も参加させていただきました。

『サハリン残留日本人と戦後日本』について、北大のジョナサン・ブルさんにインタビューしてもらいました。

どんな本なのか、なんでこの本を書いたのか、どんな研究状況の中でこの本が生まれたのか、なんでこんな書き方をしたのか、という話をブルさんが引き出してくれています。

下記サイト内の「配信プラットフォーム」からご希望の配信サービス(YouTubeなど)をクリックするか、本文下方の再生ボタンをクリックすると動画(音声のみ)が再生されます。

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ジョナサン・ブル、中山大将「インタビュー 中山大将『サハリン残留日本人と戦後日本』」
ブック・ラウンジ・アカデミアWebサイト、2021年4月14日、34分21秒(https://www.bookloungeacademia.com/54/
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文学博士号を取得しました。

北海道大学大学院文学研究科から下記の博士学位論文により文学博士号を授与されました。2010年に京都大学から授与された農学博士号に続きふたつ目の博士号となります。

文学の博士号を取ろうと思ったきっかけのひとつは、講義において私が自己紹介の中で農学博士であることを述べたところ、学生から「農学博士なのに日本史を教えられるのか?」という声があったことでした。

研究者の世界では、日本史含め歴史研究分野で活躍している農学博士は珍しくないのですが、世間的に見れば農学博士が日本史教員を務めていることは不安に思えてしまうかもしれません。

「農学博士なのに日本史を教えられるのか?」というのは学歴主義的で権威主義的な発想ですが、大学教員が相手にするのはそうした世間の「常識」に縛られた学生であり、そうした表層的なことで学習意欲を鈍らせてしまわないためにも、日本史教員としての能力と実績をわかりやすく示せるものがあったほうがよいだろうと思い、文学の博士号を取ろうと決意しました。

第二博論は、第一博論の後の研究、つまりサハリン残留日本人の研究が主題です。20代の研究で農学博士、30代の研究で文学博士という形になりました。故郷の北海道の大学で学位をとれたこともとても嬉しいです。

調査に協力してくださった当事者の方々やその支援者のみなさま、共同研究などの形で助けてくださったみなさまには心より御礼申し上げます。

また、お忙しい中、審査をしてくださった主査、副査の先生方にも御礼申し上げます。審査の過程で、境界地域史の手法として「境界変動」「住民移動」「国民再編」「記憶構築」の連動性を検証することを明確化できたことは私にとって大きな前進でした。

最後に、家族にも感謝の言葉を述べておきたいと思います。博士論文執筆や提出手続きなどでは、家族にもたいへん助けられたからです。

これからの10年に向けて新しい研究生活を始めたいと思います。
 
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『サハリン残留日本人の境界地域史』
北海道大学大学院文学研究科博士学位論文、2021年3月25日、総324頁。
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全国樺太連盟解散 貴重な資料と〈記憶の共同体〉

本年3月末で解散する樺太引揚者団体である全国樺太連盟(樺連)の最後の移動展に関する以下の記事の中で私の談話が掲載されております。

樺太と言うとどうしても戦争の悲劇や観念的な領土論に関心が持たれやすいのですが、会報誌『樺連情報』はもちろん、会員の方々が寄贈した同窓会・同郷会誌や写真アルバムなどは、樺太の一般の人々の小さな生活の断片を教えてくれる貴重な資料です。これら資料は今後も保存・公開され研究や樺太への理解が深まることを期待します。

また、〈故郷喪失者〉である樺太引揚者のみなさんにとって、樺連は同郷会・同郷会同様に、〈故郷〉の記憶を共有することのできる〈記憶の共同体〉として樺太引揚者のみなさんに貢献してきたと思います。そうした〈記憶の共同体〉としての役割を果たしたからこそ、上記のような貴重な資料が集まる場になったとも言えます。

拙著(および今回の談話)でも、樺連に対しては時にいささか批判的な表現をしてしまうこともあるのですが、それはあくまで後の世代が前の世代の事績を検証し後世に活かすためであり、責任追及のためではありません。

樺連には私も研究者として様々な形でお世話になって参りました。
改めてここで感謝の意と長い長い活動への敬意を表しておきたいと思います。

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取材協力・談話 片山健志、大野正美「樺太伝える最後の移動展 札幌 全国樺太連盟が来月解散」『朝日新聞』2021年02月19日(北海道版)、24面
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〈トランスナショナル〉の行方

日本移民学会2019年度大会シンポ「移民と〈トランスナショナル〉:日本における移民研究の再考」の報告原稿が下記の通り、刊行されております。

「トランスナショナル」という用語を、今後移民研究の中でどのように使っていくべきかを考えるために、これまでの用法を確認しつつ、分析概念としての意義と限界について、ひとつの見解を述べたものです。

他の登壇者の方々は、さらに深めた議論をしてくださっているので、「トランスナショナル」の〈行方〉を考えたいという方は、是非併せてお読みください。

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「現代東アジアにおいて〈トランスナショナル〉を問うことの意義:日本移民学会編『日本人と海外移住』を起点にして」
『移民研究年報』第26号、2020年6月、19-27頁。
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樺太日本人慰霊碑記事第4回掲載。

2016年時点の樺太日本人慰霊碑の現状についての全国樺太連盟『樺連情報』上の連載記事第4回が掲載されました。
第4回は、西海岸の慰霊碑の現状について記しています。

今回が最終回となります。
調査や執筆の過程でお世話になった方々、またこうした機会を与えてくださった全国樺太連盟のみなさま、ありがとうございました。

なお、この連載記事は、調査に関連した機関や団体の公式見解を示すものではありませんので、ご注意ください。

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「樺太日本人慰霊碑の現状(四)東海岸地方」
『樺連情報』第845号、2020年12月1日、2頁(テン・ヴェニアミンとの共著)。
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樺太日本人慰霊碑記事第3回掲載。

2016年時点の樺太日本人慰霊碑の現状についての全国樺太連盟『樺連情報』上の連載記事第3回が掲載されました。

第3回は、西海岸の慰霊碑の現状について記しています。

なお、この連載記事は、調査に関連した機関や団体の公式見解を示すものではありませんので、ご注意ください。

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「樺太日本人慰霊碑の現状(三)西海岸地方」
『樺連情報』第844号、2020年11月1日、2頁(井澗裕、テン・ヴェニアミンとの共著)。
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樺太日本人慰霊碑記事第2回掲載。

2016年時点の樺太日本人慰霊碑の現状についての全国樺太連盟『樺連情報』上の連載記事第2回が掲載されました。

第2回は、鈴谷・亜庭地方と北部(オハ)の慰霊碑の現状について記しています。

なお、この連載記事は、調査に関連した機関や団体の公式見解を示すものではありませんので、ご注意ください。

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「樺太日本人慰霊碑の現状(二)鈴谷 亜庭 北部地方」
『樺連情報』第843号、2020年10月1日、2頁。
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阿彦哲郎さん追悼記事に協力。

報道などでも知られる、一般民間人であるにもかかわらず戦後サハリンからソ連大陸部へ移送されそのままソ連で残留生活を強いられた阿彦哲郎さんの追悼記事を共同通信社の小熊宏尚記者がお書きになりました。

私が発見した阿彦さんにかかわる公文書の話についても少しだけふれられています。

阿彦さんの経験は、戦争と境界変動、冷戦と透過性の低位状態が個人にもたらす不条理の実例として、多くの人に知ってほしいと思います。

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取材協力「命救われたカザフを「故郷」に 旧ソ連抑留者 阿彦哲郎さん」『北海道新聞』2020年9月25日、6面(執筆:小熊宏尚)。
ほか『岩手日報』(2020年9月16日)、『長崎新聞』(2020年9月23日)、『中国新聞』(2020年9月24日)などに掲載(掲載紙により見出し・内容等に若干の異同有り)。
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樺太日本人慰霊碑記事連載開始。

2016年時点の樺太日本人慰霊碑の現状についての連載記事を全国樺太連盟の『樺連情報』で始めました。全4回で、第1回は総論として、全体的な概要を記してあります。

樺太日本人慰霊碑については、関係者以外にはあまり情報が共有されてきませんでしたので、この記事がその共有に貢献できればと願います。

なお、この連載記事は、調査に関連した機関や団体の公式見解を示すものではありませんので、ご注意ください。

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「樺太日本人慰霊碑の現状(一)総論」
『樺連情報』第841号、2020年7月1日、2頁。

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