『引揚・追放・残留』合評会シンポ記録

2019年に刊行された蘭信三、川喜田敦子、松浦雄介編『引揚・追放・残留:戦後国際民族移動の比較研究』(名古屋大学出版会)の合評会シンポジウムの記録が下記の通り刊行されました。

自分の書いた文章ではなく、自分の話したことが他の人の手で字になっているのは、学生時代に対談集や鼎談集が好きだった人間にとっては、うれしいです。書き起こしをしてくださった方、ありがとうございました。

同書は、蘭信三先生の共同研究の成果物と言えますが、一連の共同研究にかかわらさせていただいてきた者にとっては、こうしてシンポジウム記録を読み返してみると、自分が研究の世界の中のとても大きなうねりの中に身を置かせてもらっていたことにいまさらながら気付きます。研究者として本当に恵まれた30代を過ごせたように思います。

編者・執筆者・編集者のみなさん、共同研究にご参加いただいたみなさん、そして蘭信三先生、ほんとうにありがとうございました。

—————————————————–
「シンポジウム記録『引揚・追放・残留:戦後国際民族移動の比較研究』刊行記念シンポジウム」『ヨーロッパ研究』(東京大学大学院総合文化研究科附属グローバル地域研究機構ドイツ・ヨーロッパ研究センター)第21号、2021年12月1日、79-80頁(発言の掲載)。
*DLは、こちら(東京大学ドイツ・ヨーロッパ研究センターWebサイト)から。
—————————————————–

戦争社会学研究会の書評会で評者。

戦争社会学研究会で書評会が行なわれ、以下の二書について評者を務めました。

野入直美著『沖縄―奄美の境界変動と人の移動:実業家・重田辰弥の生活史』みずき書林、2021年
松田ヒロ子著『沖縄の植民地的近代:台湾へ渡った人びとの帝国主義的キャリア』世界思想社、2021年

お二人とも、10年以上、共同研究などでお世話になってきた先輩です。
お二人のご著書を研究会の場で評者の役を任されたことはたいへん光栄でした。

もうひとりの評者の土井智義さんのご専門分野が地域・時代としては両書と重なっておりましたので、私は気楽に引き受けて、あまり論理的・実証的ではなく、印象論的な評になってしまい申し訳なく思いました。

ただ、やはりこうして議論することで、自分ひとりで読んでいても気付けなかったことに気付けるので、こうした機会はほんように大切な機会だと改めて思い知りました。

企画してくださったみなさん、ご参加してくださったみなさん、そして著書のおふたり、さらに両書の作成に深くかかわった調査協力者や編集のみなさん、御礼申し上げます。

*書評会詳細:https://scholars-net.com/ssw/archives/930

在南サハリン中国人の帰国、韓国語翻訳論文刊行。

2021年3月に韓国釜慶大学の人文韓国プラス事業団が主催した国際学術会議での報告論文が韓国語に翻訳され出版されました。

内容は基本的に『境界研究』第10号に掲載された拙稿「日ソ戦後の在南サハリン中華民国人の帰国」を基にしておりますが、冒頭部分で、今後自分の境界地域史研究の軸にしようと考えている〈境界変動〉〈住民移動〉〈国民再編〉〈記憶構築〉について論じている点は独自の部分です。

なお、和訳論題は、「境界変動による戦勝国民の不本意な帰国:第二次世界大戦後の住民移動の中の在南サハリン中華民国人」です。

国際学術会議の開催、本論文集の刊行に携わってくださった方々、特に翻訳者の鄭桂香さん、ありがとうございました。

—————————————-
나카야마 다이쇼「경계 변동에 따른 전승 국민의 본의 아닌 귀국:제2차 세계대전 후의 주민 이동 중 남사할린 중화민국인을 중심으로」(약자: 정 계향) 부경대 인문한국플러스사업단 편『동북아해역과 귀환:공간,경계,정체성』소명출판、2021년09월10일、pp.61-87。
—————————————-

北海道・樺太の林業における〈排除〉と〈協力〉

東アジア環境史学会の大会で下記の研究報告を行ないました。

北海道と樺太で近代的開発が始まると、当初は山火の発生などによる森林資源の消耗を避けるため森林からの住民の〈排除〉が進む一方で、やがて住民との〈協力〉によって森林資源の保全を図ろうとする動きが現われること、そしてその中で、〈我々の森林〉〈帝国の森林〉という考えが普及されようとすることについて、北海道林業会や北海道山林会の資料を中心に論じました。

今回の研究報告は、以下の科研共同研究者とオーストラリアの関連研究者によるセッションの一環でした。
自分の勉強がまだまだ足りないことを痛感することにはなりましたが、それと同時に視野が拓ける機会となりました。

「帝国林業をめぐる知と実践の展開に関する研究」(代表:中島弘二、研究課題番号:18H00642 )
「帝国日本の林学者と植民地林業の研究」(代表:米家泰作、研究課題番号:21H00502)

ともにセッションに参加したみなさん、報告には参加しなかった共同研究者のみなさん、ありがとうございました。
また、オンライン開催のためにご尽力いただいたみなさまにも心から感謝申し上げます。

————————————————————————————–
“Exclusion and Collaboration in the Forest of Empire: Activities of Forestry Organizations in Karafuto (Southern Sakhalin) and Hokkaido,”
The Sixth Biennial Conference of East Asian Environmental History (Parallel Session 9.2 From Colonial Forestry to Empire Forestry, Part 1: Empire Forestry and Scientific Networks), Kyoto University, Japan (online), September 9, 2021.
*This work was supported by JSPS Kakenhi Grants: Number 18H00642 and 21H00502.
—————————————————————————————-

図書新聞に書評『海外引揚の研究』

『図書新聞』に加藤聖文先生のご著作『海外引揚の研究』の書評を書かせていただきました。
この研究をひとりでまとめ上げるというのは、本当に考えられないほどすごいことです。

書中では拙著もとりあげてくださっており、たいへんうれしかったです。
このご研究を読むことで私も今後の研究を進める上でのいろいろと新たな着想が得られました。

図書新聞さんには、塩出浩之先生の『越境者の政治史』に続き、加藤先生のご大作の書評を担当する機会をいただき光栄です。
また、著者の加藤先生にもすばらしいご研究を世に出してくださり、改めて感謝申し上げます。

————————————————————————————–
「書評 加藤聖文『海外引揚の研究:忘却された「大日本帝国」』」
『図書新聞』第3492号、2021年04月17日、3面
————————————————————————————–

『国境は誰のためにある?』が新刊紹介に掲載。

拙著『国境は誰のためにある?』が『移民研究年報』第27号の「新刊紹介」に掲載されました。
評者は、教育社会学が専門の岡本智周先生です。

歴史教科書研究などにお詳しい岡本先生に、高校科目「歴史総合」に向けた本書について「歴史を学ぶことが知識の習得にとどまるものではなく、これから流れゆく時間に向けられる視点の確立に繋がるものであることを実演している」と評していただき、たいへんうれしい思いです。

これを機により多くの人に本書を手にとってもらえればと願います。
岡本先生、また掲載してくださった日本移民学会のみなさまに感謝いたします。

—————————————————————-
岡本智周「新刊紹介 中山大将著『国境は誰のためにある?:境界地域サハリン・樺太』」
『移民研究年報』第27号、2021年06月15日、73頁。
—————————————————————-

ラウンドテーブル「境界変動と移住」

日本移民学会第30/31回年次大会にて共同研究「欧州・北東アジア境界変動地域での住民間葛藤と相互作用に関わる社会的力学の解明 」(代表:山口博史)のメンバーでラウンドテーブルを行ないました。

私は概略的に、サハリン島の境界変動がマイノリティを発生させる過程についてお話し、人間が境界を越えて移動する「移動的越境」の研究である移民研究と境界が人間の足元をすりぬけて社会環境が変化する「非移動的越境」の研究をつなげることはできないかという問題提起をいたしました。

他のメンバーの興味深く詳細な事例などもまじえ、参加者のみなさんと様々な問題意識を共有するとともに、新たな発想も得ることができました。

参加者の皆さん、ありがとうございました。
また、本学会初のオンライン開催のためにご尽力いただいたみなさまにも心から感謝申し上げます。

———————————
「サハリン島の境界変動とマイノリティの発生」
(ラウンドテーブル「境界変動と移住:北東アジアと欧州の事例から」)日本移民学会第30/31回年次大会、オンライン開催、2021年6月19日。
———————————


『サハリン残留日本人と戦後日本』書評が『移民研究年報』に

外村大先生が拙著『サハリン残留日本人と戦後日本』の書評を書いてくださいました。

読みづらい拙著をしっかりとお読みいただいた上でのご評価をたいへんありがたく受け止めました。
書題後半の「戦後日本」について拙著では充分に論じ切れていないのではないかというご指摘は、今後の研究の重要な課題としていきたいと思います。

————————————————————————–
外村大「書評 中山大将著『サハリン残留日本人と戦後日本:樺太住民の境界地域史』」
『移民研究年報』第26号、2020年6月、108-109頁。
————————————————————————–

拙著インタビュー音声配信開始。

ブック・ラウンジ・アカデミア(BLA)という人文社会科学の研究書の魅力を著者インタビューを通じて伝えようという試みに私も参加させていただきました。

『サハリン残留日本人と戦後日本』について、北大のジョナサン・ブルさんにインタビューしてもらいました。

どんな本なのか、なんでこの本を書いたのか、どんな研究状況の中でこの本が生まれたのか、なんでこんな書き方をしたのか、という話をブルさんが引き出してくれています。

下記サイト内の「配信プラットフォーム」からご希望の配信サービス(YouTubeなど)をクリックするか、本文下方の再生ボタンをクリックすると動画(音声のみ)が再生されます。

——————————————————————-
ジョナサン・ブル、中山大将「インタビュー 中山大将『サハリン残留日本人と戦後日本』」
ブック・ラウンジ・アカデミアWebサイト、2021年4月14日、34分21秒(https://www.bookloungeacademia.com/54/
——————————————————————-

文学博士号を取得しました。

北海道大学大学院文学研究科から下記の博士学位論文により文学博士号を授与されました。2010年に京都大学から授与された農学博士号に続きふたつ目の博士号となります。

文学の博士号を取ろうと思ったきっかけのひとつは、講義において私が自己紹介の中で農学博士であることを述べたところ、学生から「農学博士なのに日本史を教えられるのか?」という声があったことでした。

研究者の世界では、日本史含め歴史研究分野で活躍している農学博士は珍しくないのですが、世間的に見れば農学博士が日本史教員を務めていることは不安に思えてしまうかもしれません。

「農学博士なのに日本史を教えられるのか?」というのは学歴主義的で権威主義的な発想ですが、大学教員が相手にするのはそうした世間の「常識」に縛られた学生であり、そうした表層的なことで学習意欲を鈍らせてしまわないためにも、日本史教員としての能力と実績をわかりやすく示せるものがあったほうがよいだろうと思い、文学の博士号を取ろうと決意しました。

第二博論は、第一博論の後の研究、つまりサハリン残留日本人の研究が主題です。20代の研究で農学博士、30代の研究で文学博士という形になりました。故郷の北海道の大学で学位をとれたこともとても嬉しいです。

調査に協力してくださった当事者の方々やその支援者のみなさま、共同研究などの形で助けてくださったみなさまには心より御礼申し上げます。

また、お忙しい中、審査をしてくださった主査、副査の先生方にも御礼申し上げます。審査の過程で、境界地域史の手法として「境界変動」「住民移動」「国民再編」「記憶構築」の連動性を検証することを明確化できたことは私にとって大きな前進でした。

最後に、家族にも感謝の言葉を述べておきたいと思います。博士論文執筆や提出手続きなどでは、家族にもたいへん助けられたからです。

これからの10年に向けて新しい研究生活を始めたいと思います。
 
——————————————————-
『サハリン残留日本人の境界地域史』
北海道大学大学院文学研究科博士学位論文、2021年3月25日、総324頁。
——————————
————————-