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学術誌査読論文第10号、樺太台湾比較論第1号

学術誌査読付き論文の第10号となる下記の論文が刊行されました。2008年に第1号が掲載されて以来ちょうど10年、毎年1本のペースで査読付き論文を発表してきたことになります。

(ただし、この中には「研究ノート」も含まれているので、それを除外するとまだ9本、それでもこれに論文集の査読付き論文を加えると11本という数になります)

今回の論文は、ここ数年取り組んできた境界地域比較史研究の一環としての樺太台湾比較研究の第1号論文となります。

拙著『亜寒帯植民地樺太の移民社会形成』(2014年)以降、台湾との比較に関心を持ち、まずは得意分野からということで農業試験研究機関の比較を行ないました。亜寒帯と亜熱帯、一見やっていることは正反対に見えて、実は考えていることは同じというお話です。

この比較研究にあたっては、北海道大学北方資料室所蔵の資料群にたいへんお世話になったほか、台湾の研究者の方に直接ご連絡して論文の提供を受けたり、台湾がデジタル公開している資料を利用したりと、台湾の成熟した学術情況なしには書けなかった論文だと思います。台湾のみなさん、ありがとうございました。

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中山大将「台湾と樺太における日本帝国外地農業試験研究機関の比較研究」
 『日本台湾学会報』第20号、2018年7月31日、45-66頁。
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*なお、上記論文執筆のために主に下記の研究費が用いられています。

中山大将(京都大学・助教)「近現代東アジア境界地域の人の移動と農業拓殖の比較史:サハリン島と台湾島を中心に」京都大学若手研究者ステップアップ研究費(2015年度)

中山大将(京都大学・助教)「境界地域史への地域情報学活用:サハリン島ミクロ歴史情報データベースの構築と応用」(挑戦的萌芽研究)(2016-18年度)

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樺太のエスニック・マイノリティと樺太〈戦後〉史

先日、刊行された『北海道・東北史研究』に以下の拙稿が掲載されました。

「樺太のエスニック・マイノリティと農林資源」は、その研究の性質上、議論の対象として主に内地人移住者を前提としていた拙著『亜寒帯植民地樺太の移民社会形成』(2014年)を補うものです。これまで個別のグループとして論じられることの多かった樺太のエスニック・マイノリティを農林資源とのかかわりからひとつの論文の中で並べて論じることを試みました。

この論文を書いてみて改めて思ったのは、先住民族に限らず先住者(残留露国人、残留漢人、残留朝鮮人を含む)が初期の内地人移住者の定着に果たした役割の大きさです。今回は充分に議論し尽くせなかったのですが、今後は北海道の事例とも比較しながらもう少し詳しく調べてみたい問題です。

「樺太の〈戦後〉史研究の到達点と課題」は、2016年10月に開催されたサハリン樺太史研究会例会の記録です。2年近い時間が過ぎてしまいましたが、樺太〈戦後〉史研究の状況を把握するためには役立つ論稿となっているかと思います。共同報告者・執筆者のみなさま、ありがとうございました。

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中山大将「樺太のエスニック・マイノリティと農林資源:日本領サハリン島南部多数エスニック社会の農業社会史研究」『北海道・東北史研究』第11号、2018年6月30日、77-90頁。

中山大将、竹野学、木村由美、ブル ジョナサン、パイチャゼ スヴェトラナ「サハリン樺太史研究会第41回例会 樺太の〈戦後〉史研究の到達点と課題」『北海道・東北史研究』第11号、2018年6月30日、108-119頁。  
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*なお、上記論文執筆のために主に下記の研究費が用いられています。

中山大将(京都大学・助教)「近現代東アジア境界地域の人の移動と農業拓殖の比較史:サハリン島と台湾島を中心に」京都大学若手研究者ステップアップ研究費(2015年度)

中山大将(京都大学・助教)「境界地域史への地域情報学活用:サハリン島ミクロ歴史情報データベースの構築と応用」(挑戦的萌芽研究)(2016-18年度)

 

拙著『亜寒帯植民地樺太の移民社会形成』の書評(『移民研究年報』)

『移民研究年報』に拙著『亜寒帯植民地樺太の移民社会形成』の書評が掲載されました。評者は、移民植民教育の研究を専門としている大熊智之さんです。

4頁の書評で本書の内容を見事にまとめていただくと同時に、当時の私がなかなかすっきり書けなかったことも巧みに表現してくださっており、感心いたしました。ありがとうございました。

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大熊智之「書評 中山大将著『亜寒帯植民地樺太の移民社会形成―周縁的ナショナル・アイデンティティと植民地イデオロギー』」『移民研究年報』第24号、2018年6月30日、101-104頁。
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文明構造論IIA受講のみなさんへ

2018年度「文明構造論IIA」の私が担当した第2~4回が終了いたしました。

レポート課題については講義で説明した通りで、詳細はKULASISからご確認ください。
今年度のテーマは「北方領土返還」ですが、政治外交論としてではなく、住民目線での予想される社会的変化や問題について、サハリン・樺太の事例を基に考えてみてください。

また、物事を考えるために学術論文を熟読し、それを引用しながら自分の考えを表現するという作業の訓練の機会として今回のレポートの活かしてください。

講義の感想・質問と理解確認テストの結果は、教員としてもたいへん参考になりました。ご協力をありがとうございました。

3回だけですので、どうしても分量過多になってしまいますが、この3回がみなさんの今後の人生の役に立てば幸いです。

京都大学の学生のみなさんへ

今年度も下記の講義を担当させていただくこととなりました。

「国境」と「国民」という観点から、過去を知り、現在を捉え、未来を考えるための講義を行ないます。

第1回は、人文社会科学を学ぶ意義はどこにあるのか、歴史学は役に立つのか、という話から始め、「国境」や「国民」という概念がどのように生まれ、どのような実態を生み出したのかというお話をいたします。第2、3回は、その個別事例としてサハリン島150年の近現代史について論じます。そして、レポートでは、実践的課題について考えてもらいます。

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文明構造論IIA
京都大学総合人間学部2018年度前期開講科目
曜時限:木曜日4限
教 室:総人1306
第2回~第4回 国境と国民の時代:日露境界地域サハリン島(担当:中山大将)
*詳細は京都大学教務情報システム KULASISをご覧ください(閲覧資格限定)。
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2017年度を振り返る

2017年度で最も大きな出来事は、早稲田大学の浅野豊美先生が代表を務める新学術領域「和解学の創成」に参加させていただいたことです。こうした研究プロジェクトに参加する機会を与えていただいたことは一歴史研究者としてたいへん光栄であると同時に、この5年間でしっかりと成果を出さなければならないという大きな重責を負うことでもあります。

これとは別に北海道大学の白木沢旭児先生が代表を務める科研費「日ソ戦争および戦後の引揚・抑留に関する総合的研究」にも参加させていただくこととなりました。

業績面では『和解のために』(クレイン)の執筆陣に加えていただき「なぜ〈数〉を問うのか」を執筆させていただきました。いつもの論文とは異なり、歴史研究者の現代的役割や歴史研究の意義について書かせていただく、貴重な機会をいただきました。

学会誌論文などの点では不作の年ではありましたが、現段階で掲載決定のものが2本ありますので、次年度には刊行されるかと思います。そのほか、次年度にはまだ数本出そうな論文があり、豊作の年の予感があります。

また、旧地域研が設計したMyデータベースの使い方も勉強し、データベースを試作中です。これも2018年度に順次公開していければと思っております。

若い仲間も続々就職先が決まるなど、うれしい知らせの多い年でもありました。

お世話になった職員さんの中にはこの春で退職される方も少なくなく、この場を借りて改めてお礼を申し上げておきたいと思います。院生のころは研究とは個人的な営みのように思っておりましたが、教員になってみるとそれがいかに多くの人との共同で初めて実現するものなのかということに気づかされます。

新年度もしっかり地道に研究活動を積み上げていきたいと思います。

「樺太の中国人」を『華僑華人の事典』に執筆。

先日刊行された『華僑華人の事典』の「樺太の中国人」の項目を執筆させていただきました。

樺太の華僑華人については、参考文献に挙げております阿部康久先生、菊池一隆先生、小川正樹先生がすでに実績を挙げておられ、私はまだ一本も論文を書いていない状況なのですが、お三方が他の項目を執筆なさるということで、私に役割が回って来たようです。

もちろん、私自身も細々と樺太華僑に関する資料を集め神戸華僑華人研究会などでご報告させていただいているからこそ、お声をかけていただいたのかと思っております。資料もある程度収集できましたので、近々論文を書きたいと思っております。

なお、「樺太の華僑華人」ではなく「樺太の中国人」となっているのは、資料の中に国籍基準の分類や呼称が出てきて漢民族とそれ以外の民族が区別できない場合が含まれているためです。

大学の講義を受け持って痛感したのは、こういう事典があると耳学問の部分が簡単に補えたり、ひとつひとつ論文にあたらなくても信頼できる情報が得られるほか、学生にもすすめやすいということです。同社から刊行され私も執筆させていただいた『人の移動事典』は重宝させていただいております。

今後もいろいろなテーマの事典が出ることを願います。

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「樺太の中国人」
華僑華人の事典編集委員会編『華僑華人の事典』丸善出版、2017年11月30日、232-233頁。
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*出版社のサイトはこちらです。