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引揚げと残留の比較相関研究

日本移民学会年次大会にて、引揚げと残留についての比較相関研究を報告を行ないました。

自分自身も特定の地域の引揚げや残留についてのみ研究を深めてきたので、地域間および時代間の比較相関研究を試み始めており、今回の報告はその序論のような位置づけです。

他地域についての先行研究を改めて勉強し直し、多くの発見がありました。
この成果はいずれ論文化できればと思っております。

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「近現代東アジア境界地域における残留現象の比較相関研究」
 日本移民学会第27回年次大会自由論題報告、東洋大学白山キャンパス、2017年6月25日。

「東アジアにおける境界変動と人口移動の中の日本人引揚げの位置」
 日本移民学会第27回年次大会パネル報告「引揚研究の可能性を探る:今泉裕美子ほか編(2016)『日本帝国崩壊期「引揚げ」の比較研究』を手掛かりに」、東洋大学白山キャンパス、2017年6月25日。
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『対話のために』韓国語版刊行。

『対話のために』の韓国語版が刊行されました。
本書に関心はあるけれど、日本語は苦手という方にぜひご紹介ください。
翻訳者の方々、出版社の方々どうもありがとうございました。

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『대화를 위해서 – <제국의 위안부>라는 물음을 펼치다』뿌리와이파리、2017년 6월 16일。
(拙稿: 나카야마 다이쇼 (中山大將) 「왜 ‘수’를 묻는가?/ 나카야마 다이쇼」pp.57-85)
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『対話のために』が刊行されました。

朴裕河『帝国の慰安婦』をめぐって起きた議論と裁判を契機に生れた現今の状況に対して、15人の研究者が各自の思いや考えを執筆した『対話のために:「帝国の慰安婦」という問いをひらく』が本日刊行されました。

3・28集会出席者も数多く含まれておりますが、その時の発言やその後に公開された記録集をまとめ直したものというわけではありません。

私自身がお誘いいただいたのは、その記録集に寄せた感想記が編者の先生方の目に留まったからのようですが、私はいわゆるどちらの「側」に立つという意識はなく、一若手研究者として執筆陣に参加させていただいたつもりです。

編者のお三方がそれぞれ歴史、思想、文学と専門が異なっているように、執筆陣全体の専門も様々です。個別の論文だけ読むと「文学研究はやっぱり物足りない」「歴史研究はやっぱり頭が固い」「政治学はやっぱり人間を見ていない」「思想研究はやっぱり言葉遊びだ」などと思う方も、一冊の本の中に様々な専門からの論文が並ぶことで見事な相互補完が実現されていると感じてもらえるのではないかと思います。

たとえて言うなら、ひとつの山をいろいろな方向や高さから撮影して、それを並べて山の全体像を見るような、そんな本になっていると思います。

もちろん、この本は完全無欠な本でありませんし、異論もたくさんあるでしょう。執筆陣一同の立場も考えも様々ですが、〈聖典〉を作ろうとして執筆に加わった方はおそらくひとりもいないはずです。むしろ異論との〈対話〉を求めてみなさん執筆に参加しているはずです。

私は特に、私と同世代、あるいはもっと若い世代にもこの〈知の共演〉を読んでほしいと思っております。この本は自分たちの勝利を誇るための銅像でもなければ、自分たちの正義を宣言するための石碑でもありません。時を越え、場所を越えて、他者と〈対話〉をするために文字を書き綴った紙の束に過ぎません。しかしだからこそ、カフェのテーブルや講義室の机の上、あるいは枕元に届けることができるのです。

3・28集会記録集のときもそうでしたが、この本の執筆陣に加わることはいささか勇気のいることでした。しかし、そうした状況があってはならないし、そうした状況をどうにかするのは自分たちの世代なのだという思いから、あえて執筆に至りました。

執筆の過程では、編者の先生方に対して多くのご迷惑をおかけしましたが、こうして刊行され本当に感謝しております。

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「なぜ〈数〉を問うのか?」
 浅野豊美、小倉紀蔵、西成彦編著『対話のために:「帝国の慰安婦」という問いをひらく』
クレイン、2017年5月15日、59-87頁。

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樺太通史ついに刊行

私も執筆陣に加わらさせていただいた樺太通史『樺太四〇年の歴史』がついに刊行されました。

私は第2章と第5章第1節を担当しました。いずれも、農林業に深くかかわる部分です。私の担当部分は、一次史料からではなく先行研究を参照引用して叙述するという方針でしたので、より読みやすく歴史を書くということを心がけました。未発表の成果を詰め込んでいくいつもの論文とは異なる書く楽しさを経験できました。

自分が研究している地域の通史を書く機会をいただくことは、研究者として光栄なことです。執筆の機会を与えていただいた樺連の担当者のみなさま、執筆のための先行研究を蓄積してくださった先達のみなさま、ありがとうございました。

 

「森と共に生きる人びと、一九一五~二四年」
原暉之、天野尚樹編著『樺太四〇年の歴史:四〇万人の故郷』全国樺太連盟、2017年3月31日、116-156頁。

「樺太開発の新展開」
原暉之、天野尚樹編著『樺太四〇年の歴史:四〇万人の故郷』全国樺太連盟、2017年3月31日、241-265頁

京都大学総合人間学部の学生のみなさまへ

今年度も下記の講義を担当させていただくこととなりました。

国会議員二重国籍問題、外国人強制退去処分、シリア難民、イギリスEU離脱、トランプの壁など、我々が「国境と国民の時代」を生きていることを再認識させられる出来事は絶え間なく続いています。

冷戦終結後の90年代に世界が思い描いたボーダーレス化と国際化の時代は夢と終わり、グローバル化とボーダーフル化が同時進行する時代を我々は生きています。

この「国境と国民の時代」を生きていくために、「いま」を近現代史の観点から理解する方法を私の講義では議論します。

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文明構造論IIA
京都大学総合人間学部2017年度前期開講科目
曜時限:木曜日4限
教 室:総人1306

第2回~第4回 国境と国民の時代:日露境界地域サハリン島(担当:中山大将)

*詳細は京都大学教務情報システム KULASISをご覧ください(閲覧資格限定)。
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2016年度を振り返る

2016年度の研究生活上の大きな出来事は、ひとつは大学での講義の機会を得たこと、もうひとつは外務省の樺太日本人墓地等調査を請け負ったことと言えるかと思います。

講義は自分の研究の意義を見直す良いきっかけになりましたし、外務省の調査はサハリン各地を巡ることができたほか、自分の直接の関心ではない調査を行なうことで多くの発見がありました。

ただし、今年度はこのふたつに多くの時間が割かれたのも確かです。

執筆方面では、原稿は提出しているもののなかなか刊行されない年度またぎの原稿がふたつようやく刊行され(正確にはひとつはまだ印刷所らしいですが)、年度またぎだけども順調に刊行されたコラムも1篇ありましt。

書評が2本刊行され、今月も3本の書評を提出しました。来年度に刊行される見込みです。

KNOWs2015の報告書も刊行され、2016年度の業績リストの大半は、この報告書の執筆物や翻訳で占められています。

頼まれ仕事の書評などに多くの時間を割き、自分で投稿する学会誌論文の業績が無いことはなんとも恥ずかしい限りですが、新年度はたまっている原稿の素をどんどん原稿にして、刊行していきたいと思っています。

研究に専念できるようにご協力くださっている職場のみなさまと家族に1年分の感謝を申し上げます。

 

マイグレーション・スタディーズ採点終了

甲南女子大学で担当させていただいておりました、マイグレーション・スタディーズの講義の成績評価が終了いたしました。

期末にご提出いただいたレポートや毎回の感想質問票を読み返しながら成績評価を行ないました。記述の質には個々人の差があるものの、学生のみなさんがんばって講義を理解しようとし、また参加しようとしているさまが見てとれ、講義のしがいを感じました。

この講義は、「国境と国民の時代」を生きる我々にとって意義のある「国際的教養」を提供できる場だと確信しております。

いただいたご質問やご感想、レポートの記述は、来年度の講義に活かさせていただきます。
半期の間でしたが、ありがとうございました。