長らく携わりながらなかなか論文化できなかった樺太華僑の戦後の動向に関する研究がようやく論文として刊行されました。

華僑華人研究というと一分野として確立しており、門外漢が論文を書くことは敷居が高いことなのですが、それでも書いてみて、華僑華人研究者ではなくサハリン樺太史研究者だからこそ書けたこともあったと思っております。

もちろん、研究と執筆の過程では、華僑華人史関連の研究会で発表させていただき適切なご指摘や温かい励ましのお言葉をいただいたり、個別にも多くのご支援やご協力をいただけたがゆえに、本論文が成就したのは紛れもない事実であり、ご協力いただいたみなさまには心より感謝を申し上げます。

最初は、そう言えば樺太にいた華僑は戦後にどうなったのだろう、という関心からこの研究は始まったのですが、資料を見つけ論を組むうちに、戦勝国民でありなおかつ戦勝国に住んでいる華僑(中華民国人)も〈不本意な移動〉を経験しているということに気付きました。

引揚げ・残留研究はどうしても敗戦国民に関心が向いてしまいますが、境界変動が住民に与える影響を考える上では、見過ごしてはいけないことを改めて認識しました。

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「日ソ戦後の在南サハリン中華民国人の帰国:境界変動による樺太華僑の不本意な移動」
『境界研究』第10号、2020年3月31日、45-69頁。
本文 http://src-h.slav.hokudai.ac.jp/publictn/JapanBorderReview/no10/PDF/03.pdf 
Summary http://src-h.slav.hokudai.ac.jp/publictn/JapanBorderReview/no10/PDF/10Summary.pdf
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