8月20日に行われた高校生向けサマースクール2015の私の模擬授業「国境が変わると何が変わるのか―平和を科学する」での質問ついてここで改めて回答しておこうと思います。質問文は要約してあります。回答していく順番に特に意味はありません。「境界」「平和」などのテーマについては、またおいおい回答していくので、少々お待ちください

質問その5
安保法案に関する分析のための資料はどんなものがありますか?
賛成、反対の理由までは分析できないのですか?

回答その5
今回の模擬授業では「安保法案に対して研究者は専門分野間で評価に差があるのか?」ということを数量的に分析してお見せしました。

まず述べておきたいのは、あの分析結果それ自体が重要なわけではなく、マスコミやネットから流れてくる情報をそのまま鵜呑みにするのではなく自分なりに検討してみると意外な事実が見えてくるということが私が言いたかったことだということです。

今回の分析で用いた資料は、配布資料の6頁<Web資料>の1番目と2番目のサイト、それと文部科学省のサイトから取得したデータ(これは日本国内における大学教員の職位別人数を調べるために利用しました)で、誰でもアクセスできるものです。

お見せした分析は「反対を表明しているか」あるいはそれ以外か、という二値的(0か1か)な量的データ分析でした。反対(あるいは賛成)の理由までを含んだデータは私の用いた資料からでは得られません。

安保法案をめぐる詳細な議論は質的データに類するもので、こうしたデータは、研究者への取材記事、以前挙げたネット上の記者会見、国会の憲法審査会、そして研究者自身の論文、著作、Blog等から得ることができます。

今回の模擬授業では踏み込みませんでしたが、同じ「反対」側の研究者同士でもその理由や根拠は様々であることが、そうした質的データの分析からは理解できるかと思います。

先ほども述べたとおり、今回はあくまで「自分の頭と力でマスコミやネットの情報を検討することができる」ということを示すために、あの分析を例として紹介しました。関心のある方は、自分でもいろいろと調べて試してみるといいかと思います。重要なことは「自分の頭で考える」ことです。

その意味では、どうすれば自分の欲しいデータあるいはその代替となるデータが得られるのかを一生懸命考えることも重要な知的トレーニングになります。

みなさんが投票権を得るまでの間にすべきことは、自分が信じるべき政治集団や有名人、新聞社、テレビ局、サイト、ネット上のコミュニィを探し出すことではなく、危機感を煽ったり感情に訴えるような「大きな声」の人々に流されることなく、冷静に自分の手足で情報を集め理性的に自分の頭で考える批判的精神を持つことだと思います。

今回挙げた例を通じて、みなさんがそれを実感してくださると幸いです。

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